人事の軸とは例えば、次のようなものです。まず、①明文化されていて矛盾がなく、あらゆる会社の関係者(ステークホルダー)を包摂する理念体系が前提となります。そして、②その理念を浸透させる人事のミッションがあります。人事のミッションの中心は、人材育成に置きます。人材育成を中心におくと、人材育成のゴールである③あるべき人材像の定義を決めることになります。
このあるべき人材を育成し、創出するのが人事の役割となりますから、④人材育成マネジメントを行う人事のポリシーを明確にし、社内的、対外的に表明することで、人事の基盤を固めることができます。
そのうえで、あるべき人材の育成のためには、まず➄あるべき人材に必要な能力の定義が必要となります。これがわが社固有の再現性をもって成果を挙げる資質(コンピテンシー)やベースとなるビジネススキル(ジェネリックスキル)ということになります。
これらを踏まえたうえで、最後にあるべき人材を育成、評価、処遇、採用、定着させるための仕組み作り⑥があります。これが人事制度であり、ハードも包摂したソフトからなる広い意味でのシステムと言えます。
つまり、このように人材育成を中心として、一本筋が通った軸を作れば、どのような外部環境の変化があっても、軸にしたがってものごとを進めていけばよいということになります。
しかしながら、創業から時間がたっていない企業はゼロベースで軸の策定に取り組めますが、歴史のある企業は、段階的にあるいは、タイミングを決めて一気に軸を修正することになります。 |