さらに、顧客を中心とするステークホルダーに対して価値創造をしていく集団である会社に属していると言うことは、多様な他者の期待に応えるため、他者との中長期的に良好かつ継続的な関係を作っていける力を養う場とえいます。
中長期的に良好かつ継続的とは、一言でいえば自利と利他のバランスが取れているということです。一方的に、どちらかが負担を強いられているような、関係ではやがて破たんが訪れます。そこで自利と利他のバランスがとれている共存共栄の関係でなければならないということです。
口で言うのは簡単ですが、ステークホルダーには、それぞれの都合もあり、ステークホルダーが多岐にわたる大きな組織になればなるほど利害関係の調整が困難になります。
ところがこれを乗り越えていく営みこそが、より大きな価値創造につながり、社員にとってはもっとも良い成長の機会となります。なぜなら、本当の共存共栄はステークホルダーのより本質的な問題を発見し、問題解決に役立ったときのみ実現できるからです。
このような共存共栄関係を築くにあたっては、単なるビジネススキルの向上だけでなく、経営についての深い理解や、人格を鍛えることも必要となり、この体験ができることこそが会社に所属している価値と言えます。つまり、単に仕事が生活の手段だけでなく、広く人間を成長させてくれる代えがたい機会ということになります。
ただし、多様な他者とのやり取りを通しての息の長い営みは一定以上の長期間、組織に在籍し、じっくり腰を落ち着けて、成功体験を積んでいかないと理解できないし、共存共栄の関係をつくる共創力として体得もできないという性質を持ちます。
そこで、会社に所属している価値は、時間をかけてステークホルダーとの間での価値創造の成功体験とともに理解していくものであることを、会社はしっかり社員に啓発していく必要があります。 |